遺言書を準備するのは良いことですが・・・

「週刊誌で遺言書の特集をやっていた。記事を読んでみて気になったので、遺言書を書いてみた。これで大丈夫だろう」
でも、それって本当に大丈夫ですか?
見本を見てそのまま書いただけでは、いろいろな問題があるかもしれません。
たしかに、相続が起こる前の準備として、遺言書を書いておくことはとても有効です。
ただ、相続は人生と一緒で、人によって千差万別です。
一番大切なことは、その人に合った「有効な遺言書」を用意しておくことです。
ここでは、「有効な遺言書」について解説してみます。
なぜ遺言書を作るのか
遺言書を作る一番の理由とは
なぜ、遺言書を作っておくのか?
その理由って知っていますか?
「有効な遺言書」があれば、「遺産分割協議」を避けられます。つまり、相続人がもめる一番の危険性を減らせます。
これが、遺言書を作る一番の理由です。
遺言状がない場合、「遺産分割協議」が避けられません。
ドラマや小説などで、事件の原因となったり、トラブルになっている場面が目に浮かぶ方もいらっしゃると思います。
たしかに、物語なので少しオーバーに書かれている場合もあります。
ですが、実際の相続手続きの中でも、「遺産分割協議」が揉める可能性が一番高いのです。
要するに、「財産分けについてみんなで話し合うこと」であり、お金の話やみんなの気持ち、これまでの家族の経緯が、その場でぶつかることになるので、もめるのです。
遺言書を作るべき理由としては、他の理由もありますが、
故人の意思として、財産の使い道を指定する(相続分を指定する)ため、
遺言書があると、残された家族の手間と労力を抑えられるから、
というところです。これはこれで大切です。
せっかく遺言書があっても…
そうはいっても、「遺言書を書いたのに、なぜか家族が揉める」というケースも存在します。
なぜかというと…
遺言書を「書いてある」ことと、その遺言書に「効力がある」ことは別問題だから、です。
ちょっと例を挙げてみましょう。
ある3人兄弟の長男がぼやいています。
お父さんの言っていた遺言書を探しだし、開封してみると…
- 日付が「〇月吉日」
- 「家のことは長男にまかせた、頼むぞ」という文章のみ
- 署名はあるが、印は無し
- しかも保管されていたのが冷蔵庫の奥(!?)
結果として、家庭裁判所での検認の際に「無効の可能性が高い」と判断されてしまいました。
長男曰く、
なんとも残念な話です。
せっかくご本人の想いはあって遺言書を書いたのに、それが法的に届かないものになっていた。
そんな悲しい結果にならないためにも、次のポイントを押さえておく必要があります。
自筆証書遺言の3つの作成ポイント
一般的に、遺言書を書くとすれば、「自筆証書遺言」をイメージする方が多いと思います。
自筆で遺言書を書く自筆証書遺言は、最低限、紙1枚とペンだけでOKです。
費用もかからず、思い立った時に、自分の意思を残せる点が最大のメリットです。
ただし、気を付けてほしいポイントがあります。
自筆証書遺言には、法律要件があることです。
つまり、効果を発生させるために必要な「条件」が民法で決められています。
「こう書きなさい」、「これを書きなさい」…というふうに、規定されているのです。
もし、遺言書の書き方や内容が条件を満たしていないと、自分の意思が伝わらずに無効になってしまいます。
また、残された家族が苦労したり、関係性が壊れてしまう可能性もあります。
もし自筆証書遺言を作成するなら、以下の3つのポイントは最低限、必ず押さえてください。
(他にもポイントがありますが、別記事で解説しています。)
1. 日付は「〇年〇月〇日」と具体的に書く
「令和〇年〇月吉日」では無効になります。
2. 本文も署名も、すべて自筆で
ワープロ・パソコン不可。字が下手でもなんでも、自分で書かないといけません。もちろん、誤字や抜けがないようにしましょう。
3. ハンコも忘れずに
印鑑がないと「本人の意思か?」と疑われます。
自分の意思を表示する大切な書類ですし、なるべく実印で押しておきましょう。
家族に「意思」が伝わる遺言書にするには?
書き方が法律的に有効なものなら大丈夫、と思うのは待ってください。
しっかりと法的に有効な遺言書を残していても、家族に「なんでこんなこと書いたの?」、「こんな分け方では納得できないよ!」と思われたら、争いの火種になりかねません。
つまり、内容的にもしっかり効果のある遺言書でないといけません。
内容的に効果のある遺言書にするポイント5つ
内容的にも効果のある遺言書にするポイントを5つ挙げてみます。
- 「なぜその分け方にしたか」を、ほんの数行でも書き添える
→お金の額より、“気持ちの筋道”が伝わることで人は納得しやすくなります。 - 長男だから全て、という価値観を一度リセット
→長男だから全部継がせる、という時代ではありません。それぞれの人生や背景があります。 - 前妻との子どもがいる場合、特に丁寧な説明を添える
→過去の事情があったとしても、「覚えていてくれた」と感じるだけでも印象が変わります。 - 葬儀やお墓に関する希望も記してもよい
→葬儀やお墓の希望があるなら書いてもいいです。ご家族があまり迷わないようにできます。 - 「感謝」の気持ちも一言添えると、いいかもしれません
→法律ではないですが、「ありがとう」の一言は、家族の心に最も有効ではないでしょうか。
法的に正しくても、うまく伝わらなければ意味がない
つまり、「正しい」だけじゃ足りません。
うまく伝えることが、大事なのです。
遺言書というのは、法律文書のひとつでもありますが、それだけではありません。
あなたの最後の意思や気持ちを表示できる、大切なものなのです。
法律的に整っているのは当然として、
「なぜそのように遺したのか」、「どんな思いがそこにあるのか」…。
それが読み取れる内容であるかどうかが、残されたご家族の気持ちに大きく影響します。
たとえ財産の分け方が均等でなくても、あなたの「想い」が伝わっていれば、みなさんが納得されることもあります。
逆に、どんなに理屈で説明されていても、気持ちが伝わらないような遺言は、争いの火種になりかねません。
まとめ:自筆遺言は「安くて自由」だけど、「自己流」は危険
「遺言書、そろそろ書いた方がいいのかな…」
そんな気持ちを抱いたときが、第一歩を踏み出すタイミングかもしれません。
もし、遺言書を作成されるのであれば、法律的にも内容的にも、「有効な遺言書」を作成することが大切です。
自分の最後の思いをしっかり伝えるためにも、残されたご家族のその後のためにも。
せっかく書くなら、「正しく伝わる」遺言書にしましょう。
どんな遺言書が自分に合っているのか、どう書けばいいのか、誰でも迷うものです。
ちょっと聞いてみるだけでも構いません。タイヨウ行政書士事務所まで、お気軽にご連絡ください。
お話をしっかりお伺いして、「有効な遺言書」を作成するお手伝いをさせていただきます。
