【遺言】「うちは揉めるような家じゃない」――本当にそうでしょうか?

「長男が継ぐから」、「家族仲がいいから」…本当に大丈夫?

70代の男性、カワグチさん(仮名)は、こうおっしゃっていました。

「うちは長男が家を継ぐと昔から決まってるし、財産なんて大してない。遺言書なんてたいそうなもの、必要ないでしょう?」

でも、よくよく伺ってみると…ご自宅の建物・土地、200万ほどの預金、そしてAさんには、前妻との間にお子さんがいるとのこと。

「うちは仲がいいから大丈夫だよ、もめないよ」と思っていても、「その人がいなくなった後」に何が起きるかは、本人にはわからないものです。
この記事では、なぜ遺言書が必要なのか? 書かないとどうなるのか?をわかりやすく、いくつかの例を交えて解説します。


遺言書がないとどうなる?よくある相続トラブル3選

実際の相続では遺言書がないことも多いですが、実際問題どうなるでしょうか?
よくおこるトラブルや問題を、簡単にあげてみましょう。

①「きょうだいゲンカが止まらない」問題

例えば、お父さんが遺言書を残さず亡くなり、相続人の3人兄弟で遺産分割協議をすることになった場合。(お母さんはすでに亡くなっている場合)

  • 「財産は長男がぜんぶ継ぐものだろ!親父もそう言ってたし」
  • 「いや、遺言書もないし、親父が何を言っても証明できないよ。預金は平等に分けるだろう?」
  • 「でも、実家には誰も住んでいないし、みんな仕事もあるから実家へ戻れないでしょ?築50年以上でボロボロだし。いっそ売却してしまって、全部お金で分けたほうがいいんじゃない?」
  • 「いや、実家を売るなんていかんだろう!思い出もあるんだし、墓はどうするんだ!」

と3人とも主張がぶつかり、遺産分割協議がまとまりませんでした。

もともと、正月とお盆にはみんなで集まったりするなど、3人の関係はまずまずでしたが、遺産分割協議がまとまるまでには、1年以上かかりました。
何回か会うのですが、そのたびに言い合いになってしまい、最終的には口もきかなくなってしまいました…。


上記はよくある具体例ですが、他にもこんなことがあると、もめる可能性が高いです。

  • 相続人の誰かが音信不通
  • 相続人の奥さん(相続権はない)が口を出して混乱
  • 相続人の誰かが認知症  など

②「再婚の落とし穴」問題

例えば、ご主人が亡くなり、相続人が妻Dさん、前妻の長男Eさん、長女Fさんの場合です。

Cさんが心筋梗塞で急逝。遺言書は残されていませんでした。
葬儀が終わった後、妻のDさんは相続の手続きについて行政書士に相談しました。
すると、こう言われました。

「相続人は、配偶者のDさんと、前の奥さんの子どもさんのお二人ですね。
 遺言書がない場合、この3人で遺産分割協議をする必要があります」

Dさんはびっくりして聞き返します。

「えっ!?…前の奥さんとの子たちって、もう20年以上会ってないのに? ほんまに、私が話し合わなあかんのですか?」


普段の交流は全くないですが、一応の連絡先は知っていた長男に電話をかけると、彼はこう言いました。

長男「そうでっか…、父親って感じはせえへんけどね。僕が10歳で離婚して、それっきり全然会うてへんし。急に「亡くなったから遺産分けの話をしましょう」とか言われてもね…」

Dさん「私はあなたのお父さんと15年間一緒に暮らしてきたんです。家も一緒に買って、支えてきたんです。財産もといっても、この家と預貯金が少しだけなんです」

長男「それは僕には関係ないことです。法律的には、僕にも相続の権利がありますからね。遺言とかないんやったら、僕の相続分はもらいますよ。」

長女も混乱していました。

長女「うーん…私、もう家庭もあるし、相続なんて面倒な話に関わりたくないんです。でも兄は「自分の権利分はもらう」って言ってましたけど…」
Dさん「そしたらこの家、売らないといけないかもしれないんですよ。住む場所もなくなるんですか? それはあんまりです…」

結果、家の名義の半分を相続人間でどう分けるかの協議が1年以上長引きました。
その間、遺産は法律的には「共有」状態になります。「他の共有者の許可なしに、売却も賃貸もできない」状態です。

Dさん「主人が亡くなって悲しいし、しんどいのに、会ったこともない人たちと交渉しないといけないなんて…。主人が一枚遺言書を書いてくれていたら、全然違ったのに」


このケースのように、再婚家庭では相続が複雑になる可能性が高いです。
他にも、内縁関係や事実婚だった場合も、リスクが高いでしょう。

近年、「家族のかたち」は色々ありますが、法制度は現状に追いついていないことが多いです。
そんな時、遺言書一枚があるかないかで、明暗が分かれることがあるのです。

③「お金が引き出せない!?」問題

残されたご家族の生活自体が危機になる問題もあります。

「まさか、生活費すら使えなくなるなんて…」
昨年、夫(72歳)を突然の病気で亡くされたEさん(64歳)のお話です。

夫婦の家計はご主人の名義の銀行口座で専ら管理されており、預貯金も生活費も年金もすべてそこにまとめられていました。

Eさん
「夫が亡くなって数日後、銀行に手続きの相談に行ったんです。そしたら“本日から口座は凍結になります”って言われて…。その口座、光熱費の引き落としも、毎月の生活費も全部入っていたのに…。引き出しも、残高の確認も、全部できなくなってしまいました」

銀行員
「ご主人がお亡くなりになった時点で、口座は凍結です。相続人全員での遺産分割協議書と戸籍一式などをご提出いただくまでは、お引き出しができません」

Eさん
「えっ? 私、妻ですよ? 引き出せないってどういうことですか?生活費も、公共料金の引き落としも全部夫の口座なのに…」

銀行は法律上、相続が発生した時点で名義人の口座を凍結する義務があります。
その理由は、勝手に引き出すことが他の相続人の権利を侵害する恐れがあるからです。

Eさんには子どもが2人いましたが、1人は与那国島在住、1人はフランス在住。
相続人全員と連絡をとり、戸籍を取り寄せ、協議書を作成するのに、3ヶ月以上かかりました。
分割協議の内容はすぐまとまりましたが、意見が対立した場合には、もっとかかることもあります。

Eさん
「話し合いはすぐまとまりましたが、3ヶ月以上も光熱費や食費を切り詰めて、自分の小さなへそくりで何とか暮らしてました…。あの時、せめて『この口座は妻に相続させる』って書いた遺言書があればなあ、と思いました」

「遺言書がなければ、たとえ配偶者でも勝手に使うことができない」―これが原則です。
遺言書一枚があれば、こんな混乱や不安は防げたかもしれません。


遺言書は、相続トラブルの防波堤

いくつかの例を挙げてみましたが、もし遺言書があれば・・・ということが本当に多いです。
遺言書という一枚の紙が、あるかないかで、天国と地獄のケースもありました。

遺言書があれば、「遺産分割協議」なしで相続手続きを進められるケースも多く、その後の名義変更などの手続きもスムーズになります。
相続がおこって悲しいご家族の、心理面や体力面での負担をかなり軽くできるのです。
また、「誰に何をどう分けたいのか」を文章で伝えることができるため、遺された家族が揉めるリスクを大きく下げられます。
「家は長男、預金は次男、株式は長女に」など、あなたの意思を文書でしっかり残せるのです。


自筆証書遺言とは?書き方とポイント

遺言書にはいくつか種類がありますが、一番手軽なのが「自筆証書遺言」です。
その名の通り、全文を自分で手書きする形式です(※2020年から一部例外も認められています)。

書くときの基本ルール:

  • 全文を自筆で書く(ワープロ不可)
  • 日付を明記する(「令和◯年◯月◯日」など)
  • 署名と押印をする

さらに、法務局での保管制度を使えば、「せっかく書いたのに見つけてもらえなかった」「隠されてしまった」という事態を防げます。


遺言書を作る意味と10のメリット

有効な遺言書があれば、先ほどの3つのケースやその他の相続の場面でも、ご家族や相続人の大きな助けになります。紙一枚でも、有るとないとでは大きく違います。
他にも、遺言書を作っておくことのメリットを確認してみましょう。

遺言書作成のメリット10選

  1. 残された家族の相続トラブルを減らせる
  2. 自分の意思を確実に伝えられる
  3. 内縁の配偶者やお世話になった人にも財産を渡せる
  4. 相続手続きがスムーズになる
  5. 子どものいない夫婦などにも対応できる
  6. 遺産分割協議を避けられる
  7. 相続税対策の第一歩にもなる
  8. 葬儀や供養の希望も伝えられる(効力はないが尊重はされる)
  9. 「誰が何を相続するか」を明確にできる
  10. 家族への「最後のメッセージ」にもなる

遺言書作成時に気をつける点:

  • 書式ミスで無効にならないように注意
  • 内容に矛盾や不公平があると、かえってトラブルに
  • 財産の特定は正確に(「預金全部」ではなく銀行名・口座番号など)

行政書士に依頼するメリットとは?

「自分でも書けると言われたけど、どう書けばいいかわからない…」
そんなときこそ、行政書士にご相談ください

当事務所では、以下のようなサポートを行っています。

  • 自筆証書遺言作成のサポート(形式・内容)
  • 文案の作成支援
  • 公正証書遺言作成のサポート(内容相談、公証役場との調整など)
  • 相続関係の調査(戸籍・相続人の確定)
  • 法務局保管制度を利用する場合の手続き支援

行政書士として、「あなたとご家族に合った遺言書」を丁寧に一緒に考えます
ちょっとした不安でも、しっかりお伺いして形にします。


まとめ:未来の安心は「今」始められる

「うちは財産も少ないし、遺言なんて大げさだよ」と思っていた方が、実際に書いてみたら「気持ちがスッキリした」とおっしゃることも珍しくありません。

遺言書は、「財産のため」だけではなく、「家族のため」、「その後のため」に作るものです。
思い立った今が、きっとそのタイミングです。


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