よくある「遺言書の誤解」10選
よくある「遺言書の誤解」10選について、今回は⑤⑥を解説していきます。
- 法定相続分があるから揉めない
- 財産が少ないから遺言書は必要ない(遺言はお金持ち用だ)
- うちは仲がいいからもめないし、口頭で大丈夫だ
- 手紙のようなものでも遺言として通用する
- 遺言なんて作ったら家族の見る目が変わって仲が悪くならないか
- 財産を自由に使えなくなるんじゃないか
- 遺言書を作るのは、年を取ってからでいい、死ぬ間際でいい
- 財産を使い切ってから死ぬから遺言書なんていらない
- 主婦だったし遺言書なんて必要ない
- 専門家に頼むのは高そうで敷居が高い、財産の内容も知られたくない
チェックリストを見ていただいて、もし当てはまるものがあったら…
それは、誤解なんです。
「遺言なんて作ったら家族の見る目が変わる?」と思った方へ
「遺言」に対する「よくある不安」のリアルな声
ある日、70代のご夫婦が相談に来られました。
「元気なうちにそろそろ遺言書を作りたいと思っているんですが、子どもたちに何か思われないかと…」のこと。
お話を聞くと、将来の相続人として、お子様が2人いらっしゃいました。
ご長男は自営業で、子どもの学費等もかかっているようで、経済的に余裕がない。
ご長女は近所に住んでいて、ご夫婦の普段のお世話を献身的に手伝ってくれている、とのこと。もし介護が必要な状態になったら、面倒を見てくれる予定です。
お子様お二人とご夫婦の関係性は良好で、どちらにも感謝しており、できるだけ2人平等に分けたい、というお気持ちでした。
しかし、「もし遺言なんて書いたら、家族が“自分は信じられていないのか”と思うかもしれない」、「長女が、生活の世話や介護をしたのに、半々で財産を分けるのは納得いかないかもしれない」と奥様はご不安に思っていらっしゃいます。
ご主人も、「遺言書を一度書いたら、これから財産を自由に使えなくなるんじゃないか?趣味の旅行や友人との付き合いなんかも、抑えないといけないか?」という心配をお話ししてくれました。
遺言書についてご相談を受けるとき、このようなご不安やご心配はめずらしくありません。
遺言書を用意することの意義
「遺言書」の効果について
「遺言書」というと、「亡くなった後、財産の分け方について書いておくもの」と考えておられる方が多いのではないでしょうか。
それは確かに、正解です。
このように、誰が何をどれだけ相続するか、「権利を確定させる効果」があります。
これはご存じの方が多いと思います。
しかし、遺言書の意義はそれだけではありません。
他にも、「相続手続きをスムーズに進める効果」、「あなたの想いをご家族に伝える効果」があるんです。こちらも忘れてはいけない部分です。
「相続手続きをスムーズに進める効果」
遺言書には、「相続手続きをスムーズに進める効果」があるのです。
遺産分割協議をしなくて済む
たとえば、遺言書の有無で、手続きが大きく変わります。
遺言書がない場合、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)をしなければなりません。
そしてその内容を「遺産分割協議書」という書面にして、全員の署名押印が必要になります。
遺言書があると、遺産分割協議手続きを一つ飛ばすことができます。
これだけでも、残されたご家族の手間を減らすことができますし、大きいことなのです。
「家族で話し合うんだからすぐまとまるだろう」とお思いの方もおられると思いますが、一番揉めてしまう危険性があるのが、この遺産分割協議なのです。
相続人ごとの経済的状況や考え、これまでの経験やご家族への思いがそれぞれ違うこと、
亡くなった方がいなくなることで、ご家族の関係性が変わってしまうこと
などによって、なかなか話し合いがまとまらないことがあり得ます。
預金の引き出しができず、葬儀費用や生活費に困る
遺言書がない場合の問題として、生活資金や葬儀費用が捻出できなくなり、ご家族が困ってしまうケー
スもあります。
銀行は口座名義の方が亡くなったことを知ると、預金口座を凍結してしまいます。つまり、口座のお金が引き出せなくなるのです。
葬儀代等はまとまった出費になることが多いですし、普段ご自宅に何十万単位でお金をおくわけにもいきませんから、大体は近くの銀行口座にお金を入れている方が多いと思います。
遺言書があれば、必要書類とともに銀行の窓口へ提出して口座の解約や名義変更でお金を引き出すことができます。(それでも2~3か月かかります)
もし遺言書がない場合、遺産分割協議書を提出することになります。
しかし、もしもこれが難航してしまうと、その間は口座のお金を一円たりとも動かすことができなくなります。
遺産分割協議には何か月~数年かかることもありますので、「財産はあるのに日々の買い物にも困ってしまう」という可能性も出てきてしまうのです。
※「払戻し制度」もありますが、制限があります。
遺産分割協議ができないケースもありうる
そもそも、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)ができないケースもあります。
現在、日本は「超高齢社会」です。
これは、65歳以上の高齢者の割合が「人口の21%」を超えた社会のことで、もはや「高齢化」を超えた状況です。
この傾向は続き、2025年の高齢化率は30%以上、2040年には35%以上になるとも推計されています。
たとえば、親が90歳代で亡くなれば、相続人の子どもが70歳代というケースはよくあります。
この場合、相続人の意思能力に問題がある場合がでてくるのです。
認知症や脳梗塞などの病気によって、体が不自由になったり、お話が難しい状況になることがあります。
相続人のうち、お一人でもこういったご状況では、遺産分割協議がそのままできません。
「相続人全員」で署名押印しないと成立しないからです。
この場合、家庭裁判所に申立てを行い、成年後見人を立てなければなりませんが、手間と時間と費用が別途掛かります。
家族の仲が良い悪いということは関係なく、そもそも遺産分割協議手続きができないケースもあるのです。
これは全く珍しいことではなく、そのまま相続手続きを放置しているご家族もいらっしゃいます。
他にも、
「あなたの想いをご家族に伝える効果」
財産分けのため、遺産分割協議をスキップするため等も大事ですが、「あなたの想いをご家族に伝える効果」もあります。
遺言書がない場合、相続人の方に「最後の気持ち」が伝わりにくいですし、最悪ご家族がもめてしまったり、相続手続きがストップしてしまう可能性もあります。
遺言書で、配慮の言葉や理由を添えることで、「なぜこの分け方にしたのか」が伝わり、誤解や不満も防げる可能性が上がります。
冒頭のご相談でいうと、長女の方が「財産を半々で分けるのは納得いかない部分はあるが、こう書いていているのだから仕方ないか」と思ってくれるかもしれません。
これは法律的な部分ではなく、心情的な部分にはなるのですが、ご家族への感謝や自分の考えを、追記として記しておくことは大切です。
実際、こうしたことを書いていても、もめる可能性を0にはできません。
が、遺言書を作成することやその内容で、もめる可能性をできるだけ抑えて、残されたご家族の将来を安心なものへ変えることができると思います。
「遺言書を作ると家族に不信感を持たれる?」
たしかに、そう思われる方も少なくありません。
ですが、現実には「きちんと考えてくれていたんだね」と安心されるケースの方が、圧倒的に多いです。
言い方は悪いですが、「あとは野となれ山となれ」と思って、相続手続きの準備を全くしていない場合、ご家族が苦労します。
大変な手続きがいくつも続いたり、手続きができなくなってしまうような中で、「遺言書を一枚でも残してくれていれば、こんな思いしなくてよかったのに…」と、ご家族が迷惑に思ってしまうかもしれません。
むしろ、遺言がないことで家族がもめるほうが、関係が悪くなってしまう原因になります。
「遺言書を作ったら財産を自由に使えなくなるのでは?」
そんなことはありません。ご安心ください。
遺言書は「将来こうしてほしい」という意思表示です。
遺言書を書いたからといって、その財産がすぐに誰かのものになるわけではありません。
遺言書は、書いた本人が亡くなられた後に、効力が生じます。
それまでは、預金も不動産もご本人の物ですし、自由に使えます。
何回も書き直すことも可能です。
ですので、「主な財産についてだけでもとりあえず書いておく」というスタンスでも大丈夫です。
行政書士がサポートできること
行政書士は、法律的な知識と実務経験を活かして、下記のようなサポートを行っています。
- ご希望に沿った遺言内容のご提案、文案の作成
- 公正証書遺言の作成手続きサポート
- 相続人関係図や財産目録の作成
- 財産調査、財産目録の作成
- トラブルを未然に防ぐアドバイス
もし遺言書の作成について疑問やご不安がありましたら、一人で悩まず、ご相談ください。
気持ちも整理され、ご家族への想いもしっかりと形にすることができます。
タイヨウ行政書士事務所では、遺言書に関する各種サポートを行っています。
「何から始めればいいか分からない」
そんな時は、ちょっと聞いてみるだけでも構いません。
ご相談はいつでもお気軽にどうぞ。初回のご相談は無料です。
