よくある「遺言書の誤解」10選
よくある「遺言書の誤解」10選について、今回は⑧を解説していきます。
- 法定相続分があるから揉めない
- 財産が少ないから遺言書は必要ない(遺言はお金持ち用だ)
- うちは仲がいいからもめないし、口頭で大丈夫だ
- 手紙のようなものでも遺言として通用する
- 遺言なんて作ったら家族の見る目が変わって仲が悪くならないか
- 財産を自由に使えなくなるんじゃないか
- 遺言書を作るのは、年を取ってからでいい、死ぬ間際でいい
- 財産を使い切ってから死ぬから遺言書なんていらない
- 主婦だったし遺言書なんて必要ない
- 専門家に頼むのは高そうで敷居が高い、財産の内容も知られたくない
チェックリストを見ていただいて、もし当てはまるものがあったら…
それは、誤解なんです。
「財産を使い切って死ぬから遺言書なんていらない」って大丈夫?

「ワシな、全部使い切って死ぬつもりやから、遺言なんていらんねん」
お気持ちはよくわかります。
お金はあの世に持っていけませんし、無駄なく生ききる、というのは一つの理想ではあります。
しかし、実際にはそう思っていた方でも、亡くなった後に預貯金や不動産、生命保険金などが思いがけず残っていたというケースは少なくありません。
「使い切るつもりだったけど、結果的に残った」ということが起きるのが現実なんです。
「立つ鳥跡を濁さず」というのはなかなか難しいものです。

「財産なんてほとんどないし、相続争いなんか起こらへんやろ?」
財産が多くても、少なくても、相続トラブルになる可能性はあります。
金額が少ないからこそ、
「これだけしかもらえないのは納得できない!」
「あの時、親に支援してもらったのに、均等は納得いかない!」
といった感情的なすれ違いは起きやすいのです。
特に、自宅の建物や土地だけが相続財産になったときには、分けにくいので大変になることが多いです。
相続によって、ご兄弟間の関係にヒビが入ったという話は、全然珍しくありません。

「遺言を書くなんて、家族に疑われる気がするわ…」

「遺言書って、なんか縁起が悪いわ…」
そのように感じられる方も確かにおられますが、きちんとした形で遺言を残しておくことは、むしろ誠実な行動と受け止められることが多いです。
また、書いたからすぐ死ぬということはありませんので、この点もご安心ください。
「自分がいなくなった後に家族が困らないように」と願って準備してくれたことが、後々感謝されるケースが圧倒的に多いのです。
逆に、「相続のことは考えているから大丈夫や」と言っていたのに、遺言書の準備が無い場合は、問題となるものです。
残されたご家族がいらぬ苦労や負担を強いられることもあり、恨まれることさえあるかもしれません。
「終わりよければすべてよし」と言いますが、ご家族や相続人のことを考えて、準備されておいたほうが良いと思います。
「財産を使い切ってから死ぬから遺言書なんていらない」という考えで起こる危険性と解説
① 残ってしまった財産が分配のもとで揉める
使い切るつもりでも、思いがけず現金や不動産が残るケースは多いです。
そして、遺言書がない場合、遺産分割協議(相続人間での話し合い)が必要になります。
この話し合いは、相続人全員の合意が必要になります。一人でも反対しているとダメです。
相続トラブルの多くは、この遺産分割協議がまとまらないことが原因です。
それがうまくまとまらないと、家庭裁判所に調停を申し立てるようなことにもなりかねません。
② 不動産が共有状態になり、売却や管理が困難に
もし、自宅などを複数の相続人で共有する形になると、「売る・貸す」といった場面で全員の合意が必要になります。共有しているうちの一人でも反対すると、できません。
この共有状態が何十年も続くことで、トラブルや管理の負担が増えてしまうのです。
また、代替わりが何回か発生すると、名義変更の登記も難しくなってしまいます。
③ 世話になった子や配偶者に多めに渡すつもりが叶わない
たとえば、「長男夫婦が介護してくれたから多く渡したい」などと思っていても、遺言がなければその思いは実現できません。
遺産分割協議では法定相続分で分けることも多く、一律な分配になるため、ご自身の感謝や気遣いを反映できなくなります。
④ 連絡の取れない相続人がいると手続きが進まない
遠方に住んでいる、疎遠になっているなど、連絡が取れない相続人がいると、手続きが滞ります。
遺言書があれば、特定の人に相続させる内容が明記できるため、このリスクを回避できます。
⑤ 相続放棄や借金の引継ぎで遺族に負担が及ぶ
相続人があなたの借金まで知らずに引き継いでしまうこともあります。
遺言書があれば、どの財産を誰に、という指定とともに、注意事項も残せるため、リスクを大きく減らすことができます。
危険性をなくすために、できる準備
遺言書がないまま亡くなった場合、相続人全員で「遺産分割協議」という話し合いをして分け方を決めることになります。
これには全員の合意が必要で、一人でも「納得できない」と言えば協議が成立しません。
また、不動産が含まれると登記手続きが必要になり、手間も費用もかかります。
ご家族にとっては負担が大きく、感情的なしこりが残ることもあるのです。
リスクを避ける最も有効な方法とは
こうしたリスクを回避するためには、やはり遺言書の作成が最も有効な手段です。
遺言書といっても、財産などの権利を渡すための重要なものなので法的に有効な形式で書く必要があります。
遺言書の形式や内容によっては「無効」になることもあります。
遺言書には主に2つの種類があります。
- 自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)
→ ご自身の手書きで作成。2020年から法務局での保管制度も利用可能です。 - 公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)
→ 公証人が聞取りして作成。形式ミスがなく、トラブルに強いのが特徴です。
「財産は少ないから遺言書なんて…」と思っているうちに、時間は過ぎていきます。
元気なうちに、ご家族の未来の安心を準備しておくことが何より大切です。
遺言書作成について行政書士ができるサポート
ご注意いただきたいのですが、遺言書は「とりあえず書いておけば安心」というものではありません。
法律上の要件を満たしていなければ、残念ながら「ただの紙」になってしまうのです。
行政書士は、遺言書の形式や内容が法的に有効かどうかを確認し、必要な情報を整理するお手伝いをしています。
たとえば、下記のようなケースのご相談に、対応できます。
- 相続人の構成が複雑、人数が多い
- 特定の人や団体に遺贈したい
- まちがいなく有効な遺言書にしておきたい
- 遺言を書くのは初めてで、何をどう書けばいいのかわからない
- 不動産や預金を誰にどう渡すかのお悩み
また、終活の一環として、遺言書のほかにも「任意後見制度」や「死後事務委任」などとセットで備えておく方も増えています。
ご家族がいらっしゃらない方や、将来の認知症等のリスクに備えておきたい方などに、適切なサポートやアドバイスをすることができます。
タイヨウ行政書士事務所では、遺言書作成サポートやチェックなどのご相談をお受けしています。
ご相談は初回無料です。
「何から始めればいいか分からない」、「こんなこと聞いていいのか」
そんなことでも、ちょっと聞いてみるだけでも構いません。
ご相談はいつでもお気軽にどうぞ。
